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2010/9/2

 本当は本人には適性がまったくないのだが、大学院を出たことで、自分には能力があると
甚だしく勘違いしている。

 これは一種の悲劇である。被害者とさえ言えるのかもしれない。

 もしその大学院に入学できなければ、または卒業できなければ、何年も無駄にする必要は
なかったことだろう。

 あるいは、変なプライドや世間体にも悩まされることはなかっただろう。

 この例のように、間違った要素で本当の自分を見誤らないように、「素の自分」をベース
に、冷静に、謙虚に、客観的に自己分析する必要がある。

 現実社会で本当に必要な能力や適性は、子供時代から20代前半ぐらいまでの行動や経験、
また、その経験の中から得た、自分の感情のフィードバック(ある行動に対して、また、ある場
面で、自分はどのように感じたか? 嬉しかった、嫌だった、恥ずかしかった、誇らしかった、
など)により、まずは大まかに判断できるだろう。

 そして、仕事を通して、現実のタフな経験、厳しい状況を経験することで、自分の限界値、
さらに詳細な適性などが見えてくる。

 これらの自分の優れた要素を生かしながら、現実に適応してゆく。

 敵を知り、己を知ろう。

 敵はよく見えても、己は見えづらいものだ。

 仕事や人生で迷った時に頼りになる生きた物差しは、やはり自分の中にあると言えるだろう。

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