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奨学金未納が急増で法的措置…これが意味するものは?

2010/8/27

 先日ヤフーに掲載された読売新聞の記事で、奨学金未納が急増しており、日本学生支援機
構(育英会)が法的措置を強化していると報じた。

 2009年度の滞納額は、約33万6000人分の797億円にも上るようだ。この数字は、返済額の
約2割だという。

 記事では論じられていないが、この奨学金未納には深い意味がある。それは、大学を出て
も、月々約1万円の返還ができないほど稼げない、または、まともな仕事にすらありつけない
大卒者が溢れているということだ。

 それもそのはず。2009年度の大卒者の就職率は約60%。

 さらに、この奨学金(という名のローン)は、合計いくら借りるかにもよるが、返済は基
本的に長期になる。

 単純に考えて、100万ほど借りて5年ぐらい(利子を含めて)、4年間(あるいはそれ以上)
借りたとしたら、400万ぐらい借りて20年ぐらい(長い人は、30年ぐらいになるという)。

 ほぼ一方的な右肩下がりの時代において、この借金は非常に厳しい。長く勤められる企業
に、スムーズに就職できる大卒者はどれぐらいいるのだろうか。個人的には、全大卒者の30
%ぐらいと推測する。

 2009年度の滞納額が、797億円。約33万6000人が返済していない。

 さらに、最近の記事で、民主党政府が新卒者の支援を検討しているとの報道があった。

 なんでも、大卒後3年以内は新卒者として扱うことにするというもの。

 これは非常に馬鹿げている。視点があまりにも浅はかで、マクロ的戦略が空っぽの証拠だ。

 さて、なぜ民主党政府が新卒者支援に乗り出したのだろうか。

 確かに、新卒採用主義があまりにも蔓延しているし、2009年度の大卒の就職率も相当低い。

 このままだと、若者の失業者が町に溢れることになる。だから、それを抑えようと。

 いや、今回の理由は、もっと深いものがあるかもしれない。それは、大学業界、教育ビジネス
を守ろうと意図しているのではないか。

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