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第2章


学校教育と新社会


 大学を出た若者たちでも、会社を3年以内に辞める割合は30%半ばから後半に
なってきている。そして一度会社を辞めてしまったら、再チャレンジが困難になっ
ている状況などは、第1章で述べてきた通りである。

 それは一流大学を卒業した若者でも同じ状況である。

 ここで言う若者とは、もう一度確認するが、就職氷河期以降の若者すべてを指
す。つまり、およそ1970年代以降に生まれた人間すべてのことだ。

 特に就職氷河期前半の世代については、厳しい受験戦争をくぐり抜けてきた若
者が多い。それでも社会に出てみると、その学歴がほとんど役に立たないことも(少
なくても民間に就職後、仕事上で)第1章で述べた。

 仮に小中高大学とすべてが私立出身の場合、極めて危険な投資だったと考える
こともできる。なぜなら、リターンが極めて低いからだ。その事実は新社会に直面
してきた若者にしか真に実感することは難しいだろう。

 若者の親にとっては金銭的なリスクが高いという話である。一方若者にとっては、
特に高学歴の若者ほど、この学校教育と新社会の非関連性のために絶望が深まる
という、深刻な問題が存在する。

 新社会では学歴が通用しない。それゆえに、まじめに努力し受験戦争を勝ち抜
いてきた若者ほど、己の過去、積み上げてきた努力を呪うことになる可能性がある
からだ。

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