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 さらに、民間企業のように実績を残さなくても、給料が容易には下がらない
(微々たる上っ面の削減のみ)。また、ボーナスが極端にカットされることもない
だろう(今後少しずつ行政改革が行われる可能性はあるにしろ)。

 つまり、現在の学校教育は、公務員にしか通用しないと言っても過言ではない。

 いや、以前なら(バブル崩壊前ぐらい)民間企業でも通用していたのである。
だから、昨今ほど教育問題がうるさくなることはなかった。

 というのも、昔の民間企業は今の役所と同じような組織構造だったからだ。

 1章で述べたような、年功序列制の崩壊、能力主義の導入というものはなかっ
たからだ。終身雇用制も普通で、転職なども一般的ではなかった。

 当然、民間企業は利益を生み出さないと組織がつぶれてしまう。ただ、やはり
右肩上がりの時代で景気が良かったために、現在の公務員のような制度を維持
できていたと言えるだろう。利益を確保するのが今よりもずっと容易だったからだ。

 しかし、グローバル化などにより社会構造なども変わり、以前と同じやり方で
は利益を上げるのが難しくなってきた。そこで民間企業は自分たちの給料を稼
ぐために、組織改革を行ったのだ。

 公務員が昨今批判されているのは税金の無駄使いだけではない。民間では時代
に合わせて厳しい組織改革を行って税金を納めているのに、その民間の税金から給
料が支払われる公務員組織は、改革をずっと先延ばししているからであると感じる。

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