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努力していれば道が開ける?
−わけがない…今の時代…

2012/2/3

 努力すれば成功する。頑張っていればいいことがある。

 学校などで先生方が言いそうな言葉であるが、努力しているだけで成功するという
のは、過去の話。

 いや、昔だって、実は努力しただけで成功した、うまくいったなんていうのは嘘だ
ろう。

 現実的には、ただ時代が良かっただけ。だから、多くの人が努力したから人生がう
まくいったという勘違いをしたのだろう。

 オリンピックの短距離走なんかでも、追い風が強かった場合、正式なタイムとして
記録されない。

 それは自分の実力ではないからだろう。追い風のおかげで好タイムが出ただけです
よ、と。

 相当な努力をしていい大学に入り、一流の企業に勤めたとしても、今は目に見える
結果が出せないといつかリストラされるだろう。

 昔の世代(団塊・バブル)の人は、確かに努力をしていい大学に入って、一流企業
に入って高待遇を手にしていた人も多いかもしれないが、それはいわゆる、たまたま
時代が良かっただけで、別に本当はその努力と企業での好待遇に直接的な関係はあま
りなかった可能性も高い(一部の本当に実力のある人達を除いて)。

 そもそも学校の教師は、数字によるシビアな競争にさらされていない公務員だ。別
に生徒の成績が悪かろうと、自分の給料は毎年年功序列で上昇してゆく(昨今ようや
く始まりつつある微々たる削減は除き)。

 また、学校社会というのは、まさに努力すればするほど誰でも好成績を挙げられる。
学校ほど、努力と成績が比例する場所はない。

 まさに、努力していれば、まじめに頑張っていればいいことがある、人生がうまく
いく場所である。

 しかし、仕事をし始めると、学校という場所が、まったく幻想的な世界であったと
理解できる。

 例えば、あるラーメン屋さんで、店主がどれだけ真面目に努力をしていても、客が
来なければ売上が上がらない。

 モチベーションを高めたり、神様に祈ったり、やる気を出して日々努力をしていて
も、売上が上がらなければ倒産(失敗)あるのみ。

 その店主に、他人(周りのお店)よりもおいしいラーメンを作るセンスと才能がな
ければ、どれだけ努力をしようがまったくの無駄である。

 そんな店主も、昔の時代ではまだ稼げたのかもしれない。景気が良かったせいか、
皆お金はカンタンに使った時代だ。

 ちょっとぐらい普通の味でも、人がたくさん来てくれて稼げた時代。

 そういう時代で言い伝えられた、「努力をすればいいことがある」、「成功するに
は努力しかない」などというフレーズは、今の時代には通用しない。

 努力をしていれば成功するという話は、つまり、年功序列が確固たるもので雇用が
保証されており、右肩上がりだった特殊な時代でのみ通用する甘い論理だろう。

 今の時代でもその考えが通用するのは(通用しているように見えるだけではある
が)、公務員社会しかない。

 公務員社会では、未だに実績によらない年功序列が頑なに守られており、どんなに
無能でも昇給するし解雇されない傾向がある。

 後は学校。

 これらの閉じた社会を除けば、現実社会ではもはや努力と結果は比例しない。

 しかし、努力が必要ないかといえばそれもまったくの嘘だ。

 ではどんな努力が必要かといえば、実社会で結果を出す努力だ。

 旧型社会(現在では、例えば学校や公務員型組織)の努力は、言わば受身の努力と
言うか、馬鹿でも頑張れば的な努力。

 日本人特有の、竹槍でも頑張れば戦争に勝てるといった非合理的な精神論。

 そのような受身的努力(神様が見てるから頑張れというようなもの)は、現代では
努力と言えないだろう。

 現代では、頭を使った努力が必要だ。つまり、精神論ではなくて、論理的に物事を
考えてゆく必要がある。

 文系天国の日本から、理系の人(技術者達)にもっと敬意を表する社会に転換しな
ければいけない。文系なんて(私もそうだが)、率直に言って理系(それぞれの分野
の職人さんや、物づくりができる人々も含む)のアシスタントでしかないだろう。

 理系の人たち(物づくりの職人さん達も含む)がいなければ、文系には仕事のチャ
ンスもやって来ない。

 理系の人たちをもっと尊重する社会になれば、社会全体でもっと論理的に考える社
会になるのではないか。

 少なくても、アホな精神論におかしいと気づく人が増えるだろう。

 同じ努力をするにしても、実社会で結果が出る努力をしなければいけない。

 今の世の中で努力を成功に結びつける(程度はどうであれ、実りある結果を出す)
には、受身的な努力(ただ努力をする)から、積極的な努力(結果から考えた、より
分析的で数値的な、因果関係等を観察したアプローチ)が必要だろう。

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