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はじめに


 非常に息苦しい時代になってきた。学生時代に必死に勉強して偏差値の高い大学へ入り、
大企業に入れば安心できる時代ではもはやない。

 会社に入っても過去とは段違いな競争にさらされ、しかも給料の上昇は保証されていない。

 法律はあってないようなもの。長時間労働やサービス残業は、民間企業なら当たり前に存
在する。

 多くの若者が早々に会社を去ってゆくのにも理由があるのだ。

 どれだけ努力しても今日より明日がよくならないと感じるとき、人はどのようにしてやる
気を持って毎日を元気よく過ごすことができるだろうか。

 希望を失い会社を退職すると、大半の若者にとって待っているのはさらなる絶望だ。なぜ
なら、さまざまな社会の仕組みに、辞めてから初めて体感することになるからである。

 絶望を感じる一番大きな理由は、今の日本社会では再チャレンジが非常に難しいことにあ
る。

 米国に端を発する金融危機以降、世界中で未曾有の不況に入った。もちろん、日本にもそ
の波が高速に押し寄せてきた。

 そのせいもあり、正社員として仕事をすることは半端じゃないくらい厳しさを増している。

 だが日本に存在する真の問題は、この大不況を超えたところにもある。それは、さまざま 
な制度上、社会構造上の問題に起因する。

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