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もし大学入学前の自分に戻れるとしたら…

2011/7/18

 学歴は必要か、それとも無意味なのか。最近アメリカで、このようなテーマがよく
扱われている。

 いや、古くから議論されているテーマではあるらしいが、昨今の不況のせいか、やや
熱く取り上げられているようだ。

 ある調査によると、大卒の約63%(聞いたNPRラジオの記憶によれば)は、もし自分
が高校時代に戻れるとしたら、大学には進学しないと答えたようである(米国大卒)。

 学歴の価値(高学歴を含めて)をどのように考えるかにもよるだろうが、卒業後に、正
社員としてそこそこのところに就職するという基準から考えると、あるいは、就職後の仕事
上のメリット(パフォーマンス全般を含めて)を考えると、現在学歴の価値は、著しく低下
しているのかもしれない。

 約6割の大卒が(日本の調査ではないが)、大学には行くべきではなかったと考えて
いる事実は、結構意味が深い。

 確かに、学歴が仕事をしてくれるわけではない。結局仕事をするのは、自分。

 さらに、学歴がある分だけ、自分を見失っている人も多い。どういうことかと言うと、自
分の能力を適正に判断できなくなる人がいるのだ。しかも、余計なプライドだけが執拗に
身についてしまって。

 例えば、大学で経営学などを学んでも、それは知識でしかない。

A:「俺、空手強いんだぜ」
B:「おお。どこで習った?」
A:「通信教育で」

 大学の知識など、このようなギャグでしかないだろう(医学や理系のいくつかを除
いて)。

 それなのに、大学でそのような空虚な学問を専攻すると、「自分はその分野の才能が
ある」と勘違いしてしまう人が多い。

 最悪の場合、卒業後何年も、本当は才能が無い分野を追い求めて、膨大な時間を無
駄にしてしまう人もいる〔残念ながら、これに気が付くのは実社会に出てから(何らかの
仕事をし始めてから)だったりもする…〕。

 現在の日本でも、おそらく、米国の大卒と同じように、大学へ行ったことを後悔して
いる人が結構いるのではないか。高卒ですぐに仕事を始めれば良かったと。

 まぁ、10年後ぐらいには、消えている私立大学(国立もいくつか)が結構あるのでは
ないか。大学も、知識の伝授だけでぼろ儲けできる時代ではない。知識なら、ネットを通
じていろいろ自分で調べることができる(必要な教材、本などへのアクセスも含めて)。
もはや、そんなものには価値がない。

 何を知っているかではなく、実際に何ができるのか(仕事をし始めたら、嫌というほ
どこれを痛感するだろう)。

 つまり、自分固有の才能を活かしていかなければいけない時代だ。大学に行って、こ
の自分固有の才能が見えなくなる人が結構いることこそが、問題であると思う。

 知っているのとできるるのとは違う。なぜかよくわからないが、できる、得意だ。こ
んな分野こそが才能のある分野で、付加価値を生むことができる分野(これが重要)。

 ちゃんと勉強したのに、知識もあるのにできない、伸びない、うまくいかない。こん
な分野は、実は才能が無い、あるいは足りない分野なのかもしれない。

 現実はシビアだ。戦略的に自分のリソース(資源やスキル)を活かして、伸ばしてゆ
く。これが、厳しい社会で生きてゆくための秘訣だろう(しかも楽しく)。

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