――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

日本は既に詰んでいると確信
…NHKスペシャル「生活保護 3兆円の衝撃」
(2011年9月16日放送)から見えてきた多くの矛盾

2011/9/18

 二日前に、NHKスペシャル「生活保護 3兆円の衝撃」という番組を見た。受信
料も強制徴収されているし、もったいないからちょっと見てみるかと。

 その番組で確信した。やはり日本は既に詰んでいると。

 生活保護受給者が急増しており、その生活保護受給者たちが仕事に復帰するこ
とは非常に難しい現状が取り上げられていた。

 その中で大阪市の特集をしていたのだが、ある受給者は、「北海道の果てや尖
閣諸島で働けと言われたら働くだろうが、こんないい環境で仕事をせずに暮らせる
なら…そりゃ、誰だって働きませんよ」などと言っていた。

 確かに、その部屋を見ると、十分なゆとりが感じられた。パソコン、地デジのテレ
ビ、DVDなど。労働者が必死に働いて得られる環境と、何ら変わらない。

 1つ驚いたのは、生活保護者は身体的または精神的に障害があったり、高齢で
仕事ができないなどの人ばかりだと思っていたのだが、実態はそうではなさそうだ
(在日特権の他にも)。

 職員が生活保護者に仕事を紹介して働くように勧める一方で、保護者たちは仕
事を選べる状況。これは〜だからできない、無理などという理由で、応募もしない
状況。

 なるほど。思っていたよりも、日本の生活保護環境はなかなか甘い感じがうか
がえた。

 番組の内容は、生活保護の特集というよりも、生活保護のプロモーションになっ
ていると感じた。

 今後も間違いなく、生活保護受給者は確実に急増し続けるだろう。また、一度
生活保護を受給したら、仕事に復帰する人は非常に少ない。

 考えてみれば、生活保護受給者が仕事に復帰しようとする意欲が出てこない、
働いたら負けなどと考えるようになっても、不思議ではない環境が現在の日本に
は存在する。その種々の要因によって、日本は詰んでいると確信した。

 例えば:

・NHK(マスコミ)自身の矛盾。自分たちはスクランブル放送の導入を拒否した
り、改革を何もしたりしない一方で、このような批判には説得力がない。そもそも、
インタビューを受けている生活保護受給者だって心の中では、「お前らも俺らとた
いして変わんないだろ。強制的に料金を徴収している分際で」などと考えてしまう
現状がある。

・役所の公務員が生活保護受給者に仕事をするように説得しようとしていたが、公
務員組織自体がおいしい思いをしている事実は、受給者を説得できるはずがない。
受給者はむしろ、「公務員だって俺らと同じだろ」ぐらいに思ってしまう。

 つまり、生活保護をもらっていても、罪悪感が湧きにくい。「天下りの連中や政
治家、公務員、マスコミ(それらのOBを含めて)。どうせみんな俺ら生活保護受
給者と変わんないよ、むしろ俺らより悪だよ」などと、堂々と生活保護を受給でき
るような心理状態が生まれるだろう。

 つまり、このような矛盾に満ちた現状(マスコミ、公務員、特殊法人、NHK、政治
家、税金で支えられる東電やJAL、金融機関など多数)が正常(民間の常識に沿
った組織になること)に改革されない限り、急速に増え続ける生活保護は今後改善
するどころか、ますます受給率が加速してゆくだろう。

 生活保護を受給するなんて、本当は良心の呵責が起きたり、世間に申し訳ない
などと思ったりしてしまうはずである。普通の日本人なら。そのような本来はとて
つもなく重いはずの心理的負荷に比べたら、極貧でも生活保護を受給するよりずっ
とましだ、と。だから、生活保護者が受給する金額を下回る労働環境でも、申請は
簡単にはしない。

 しかし、上記のように日本が抱える種々の矛盾や不公平な社会状況により、通
常持ち得る恥、罪悪感などといった気持ちが失われてしまう。「公務員も、マスコ
ミも、政治家も、天下りも、特殊法人も、そして東電も、俺らと同じだし、俺らより
もおいしい思いをしているだろ」などと、ポジティブに自己正当化できる社会状
況がある。

 つまり、今後も生活保護率は急上昇を続けるのは間違いないが、減ることはほ
ぼない。

 番組によると、役所はケースワーカーを増やして対応するなどと対策をしてい
るようだが、愚の骨頂だ。根本的な問題は自分たち(役所という組織自身)にもあ
るのだから。

 生活保護を気楽にポジティブに受けられる心理状況が、社会的不公平によって
支えられている。

 このような理由により、ケースワーカーがどれだけ頑張って生活保護受給者を
説得しようが、説得力なんて生まれる環境にはないと感じる。

 おそらく時既に遅しなのだろうが、日本は抜本的な改革(公務員、政治家、マ
スコミ、特殊法人、東電など)をしない限り、ぼろぼろに日本が破綻するまで、タ
イタニック号のように日本はただただ沈みゆくしか無いのだろう。

[前のページ]                   [次のページ]

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

inserted by FC2 system