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東電が相当激しく叩かれる理由
東京電力に公的資金を投入?

2011/4/1

 今回の東日本大震災で放射能漏れなどの事故が起きている福島の原発問題によ
り、東電が相当激しく叩かれている。

 その理由は、対応の遅さや情報の隠ぺい体質などがあるのだろう。また、なぜ
これまでにもっと十分な対策ができなかったのか、なぜ福島の住民などに(他の地
域もだが)、原発の危険性を伝えてこなかったのか。そのような不満もあるだろう。

 だが、国民の根底には、もっと深い怒りや不公平感みたいな感情もあるのではな
いか。それらの感情とは、国民が公務員、議員、JALなどに対して持っている、怒
りにも似た感覚と似ている気がする。

 もっと具体的に言えば、民間人の感覚からかけ離れた、それらの組織に対する
不公平感だろう。つまり、市場価値以上に待遇が良過ぎるだろ!、という気持ちで
はないか(あるいは、待遇に見合った仕事を全然していないという)。

 東電や公務員、議員は(昔のJALも。あるいは、NHKや新聞、マスコミ、さらには、
一部出版関係も)、独占的な環境で、能力以上の待遇を国民の税金(あるいは、
法的規制による同等のもの)から支払われている、という気持ちだろう。

 東電は公務員ではないが、その独占的業務上、ほぼ公務員のように見なされて
いるだろう。あるいは、公務員の人も東電に対する怒りは強いかもしれない。待遇
が、公務員のはるか上を行くからだ。

 大半の民間の国民は、資本主義の日本において、常に競争にさらされている。
つまり、基本的には、給料(職の保証、福利厚生等も)が、能力や仕事ぶりに合わ
せて与えられている(まだまだ、高齢層には年功序列の要素が残っているようで、
また、そのために、若者が高齢層に不満を抱く、怒りを感じる理由が存在する。同
じプロセスだ)。

 そのように、常に市場で闘って一生懸命生きている中で、東電や公務員、議員
などは、適正な市場価値以上に給料をもらい過ぎだ!という感覚が、必然的に強く
なってしまう。

 言い換えると、それら組織で働く大半の人は、待遇に見合った仕事をしていな
いのではないか、という不満が国民にはあるのだろう。なぜなら、それらの人々の
給料を払っているのは、自分たちだ!という思い(東電の場合は、その地域の住民
ではあるが)があり、また、その給料は通常、常に市場価値にさらされて、明日ど
うなるのかもわからない未来に対して戦って生きている中から生み出されるものだ
からだ。

 その証拠に、市場で戦って高給を得ている民間の社員に対しては(例:トヨタ社
員のボーナス、大手メーカーの待遇など)、ほとんど批判が聞かれない。むしろ、
業績を上げているんだから、もらって当然だという率直な称賛が多い(他社の話な
のに、日本の技術はすごいんだ、などというプライドまである)。

 このように、東電は、原発対応の不手際や情報隠ぺい体質だけではなく、もっ
と根底には、公的機関に対する強い不満も存在する。

 民主党は「復興税」などというものを創設しようとしている。もちろん、多くの国
民も一定の理解を示すだろう。ただし…、東電を完全に救うような形での税金
(公的資金)の注入は、まったく許されるものではないはずだ。

 その前に、東電はボーナスの完全カット、給料の大幅カット、退職金の大幅カッ
トなど、あらゆる面で限界まで削減しないと、国民の理解はまったく得られないだ
ろう。火に油を注ぐように、国民の怒りが頂点にまで達しかねない。

 また、民主党は「震災国債」の検討もしているようだが、それも同じだ。後の増
税につながるはずなので、その際には、上記東電と同じように、公務員の待遇
(ボーナス、退職金、優遇されている共済年金)を最大限まで削減(議員は率先垂
範して当然のごとく)しないと、国民はそろそろ大規模デモなどを起こすかも知れ
ない。

 日本人はおとなしいと言われているが、大規模デモが近い将来に起きそうな地
盤も整いつつある。なぜなら、震災の影響で、今後民間のリストラが強力に進めら
れるだろう。

 本当に、生きていくのも難しいぐらい追い込まれる日本人が、いよいよ大量に
生まれてくる可能性がある。

 民主党(政治家全員)はその辺の理解をあやまると、一生野党にいることにな
るだろう。あるいは、それらの状況を理解できないKY政治家は、今後当選が(永久
に)難しくなってくるのではないか。

 やはり人間、ぬるま湯につかっていては、目も、耳も、心も、頭も、何もかも
が悪くなっていくようだ(運動しないと体力や筋肉が落ちていくように)。

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