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英語を社内公用語に? 

2010/7/7

 最近、楽天やユニクロで英語を社内公用語とする話が出た。グローバルにビジネスを展開
し、外国人社員が増える中で、英語のコミュニケーションが必須との判断だろう。

 結論から言うと、この英語を社内公用語とするアイデアは、恐らく失敗に終わる可能性が高
い。

 社員が皆英語をビジネスレベルで操れるなら、それは素晴らしいことだ。だが、実際にビジ
ネスで英語を使えるレベルに達するには、相当の時間を投資しなければならない。

 通常の業務を完璧にこなすのと同時に、ビジネスで通用するレベルまで英語を鍛えてゆくの
は相当に難しいはずだ。時間が物理的に足りない。

 英語を鍛えることで、本業がおろそかになっては本末転倒だ。また、社内で不完全な英語を
無理やり使ってコミュニケーションをすると、誤解やストレスが半端じゃなく高まるだろう。

 お互いに感情の細部を伝え、相手を気遣いながら、また、相手の気持ちを読みながらのコミ
ュニケーション。日本語で普通にできていたものが、まるでできなくなる。

 つまり、仕事の効率が極端に下がる可能性すらある。数年後から5年後ぐらいには、そのマイ
ナスの成果の方が出てくるのではないか。

 わざわざ社員全員に英語を強要しなくても、専門の通訳を雇ったり、翻訳を外部に委託した
りすればいい。コストだって安いものだろう。

 あるいは、新たにグローバル部門を立ち上げ、そこに英語(またはグローバルコミュニケー
ション)専門要員を雇えばいい。

 通常業務を完璧にこなさなくてはならないのに、その上いきなり英語を普通の社員に教えよ
うなんて、そううまくはいかない。

 社会人になって少しぐらい学んだぐらいで、英語をビジネスレベルで使うなんて、大半の社
員には無理な話。

 コミュニケーションが非効率になり、失敗しやすくなり、ストレスがたまる。そのせいで通常業
務に支障をきたす。

 英語を社内公用語にしようとする会社は、それらの蓄積から来る生産性の低下を、考慮して
いないのではないだろうか(あるいは単純に考え過ぎている)。

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