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成果主義のせいで業績が落ちる?
−いや、それ関係ない…

2012/2/7

 最近、家電業界(NEC、ソニー、パナソニックなど)を筆頭に、大規模な人員削減
(リストラ)の話が出てきている。

 また、業績が落ちている企業を中心に、成果主義を導入してからおかしくなったと
いう話もたまに出てくる。

 しかし、既に成果主義云々の話をする段階ではなく、ただ単に日本企業の業績が軒
並み落ちているだけに過ぎないのではないか。

 そして、成果主義を導入した企業は、そもそも業績が落ちているから成果主義を導
入せざるを得なかったのだろう。

 つまり、成果主義の目的は、単純に人件費を削減することだ。それが成果主義の本
当の目帝だろう。

 仮に成果主義が日本の高度経済成長期に導入されていたら、ものすごい高い待遇を
大半が手にしていたに違いない。

 なぜなら、あらゆる条件が日本にとって好都合で、強い追い風が吹いていたので、
企業の売上はものすごい勢いで伸びていった時代だったからだ。

 そんな時代なら、社員の業績も、特別な努力をしなくてもものすごい右肩上がりだ
ったに違いない。何せ物はなくて、旺盛な需要が溢れていた時代。営業なんか楽でし
ょうがなかっただろう(勝手に物が売れていく感覚)。

 つまり高度経済成長期(バブルの時代も)は、年功序列制の方が企業にとって都合
が良かったに過ぎない。その当時は年功序列制の方が、人件費がグッと節約できてい
たのである。

 成果主義を導入しておかしくなったという企業(人)がいるが、それはただ単に、
成果主義云々以前に、不況の煽りを受けて企業業績が悪くなっているだけであり、そ
のため職場の雰囲気も悪くなっているだけであると思う。

 仮に今のような不況下で企業業績も上がらないのに、年功序列制なんか維持してい
たら、会社の利益があっという間に吹っ飛んでいき、それこそ倒産してしまうのでは
ないか。

 成果主義も年功序列制も、職場の雰囲気など感情的な視点から語られることが多い
が、本当はただ単に、どちらも企業の人件費削減策でしかないだろう。

 今のような不況下では、企業業績も悪いのが大半で、職場の雰囲気が悪くなるのも
当然である。

 年功序列制を導入して一時的に喜んだとしても、企業が傾くのが早くなるだけだろ
う。そして倒産して再就職ができなければ(この再チャレンジが不可能に近い日本
で)、それこそ路頭に迷うことになるだけだ。

 むしろ、年功序列制を維持してきた大企業ほど、今後は経営が急速に傾く可能性が
高いかもしれない。

 なぜなら、年功序列制の維持により、人件費が高い水準で固定されているからだ。

 もし成果主義を導入していたら、不況になり企業の業績が下がれば、それと連動し
て社員の営業成績等も落ちるはずなので、必然的に人件費をある程度柔軟に下げるこ
とができる。

 それが年功序列制度だと、今みたいに急速に経済環境が悪化すると、固定された人
件費はものすごい負担となってくる。当然、昨今の家電業界で発表されたような、巨
額の赤字が止まらなくなる。つまり、大企業といえども、会社が一気に傾く可能性がある。

 今時年功序列制度なんて、有能な若者のモチベーションを下げるだけだ。

 有能な若手社員は、無能な高齢社員に高待遇を与える環境でモチベーションが下が
り、他社に転職してしまうかもしれない。

 まぁ、そろそろ、大企業も大規模なリストラを始めとして、今よりも大胆な成果主
義の導入などを始めるのではないか(そうしないと、どのみち生き残れない)。

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