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2011/3/28

企業によるモチベーションコントロール

 企業はたいてい、社員のモチベーションコントロールをしようとする。社員のや
る気をどれだけ引き出せるか。それ如何によって、企業の業績は大きく変わって
来るだろう。

 特に、営業職に対するモチベーションコントロールは絶対ある。たくさん売っ
てもらわないと、話にならない。

 この場合、たいてい、明確かつ強力な外発的モチベーションを与えることにな
る。つまり、コミッション(歩合)だ。売れば売っただけ、給料が加算されるよ、と。
いろんな物が買えるようになるし、家族を幸せにできますよ、と。

 しかし、このような不況下だ。いくら外発的モチベーションを強化しても、売れ
ないと効果はすぐに薄れて行く。営業職の離職率は相当高い。

 よって、企業は(特に最近は)、内発的モチベーションを強化しているところが
増えているのではないだろうか。

 実際には、企業が個々人の内発的モチベーションを高めることは難しいと考え
る。なぜなら、内発的モチベーションは、個々人にとって固有のものだからだ。つ
まり、極端に言えば、企業は洗脳に近いことをすることになる。

 例えば、この商品を売ることで、購入者を助けることができる、など。うちの商
品のおかげで、生徒を合格させることで、その人の人生をサポートすることがで
きるなど。

 これは、従業員の心のモチベーションに火をつけようとするやり方だ。金銭や
地位などとは違って、心に訴えてモチベーションを高めるやり方。

 一見すると、内発的モチベーションと同じように感じるが、他者から与えられ
るモチベーション(外発)であり、企業の利益(外発)に基づいたモチベーション
である。

 よって、たとえこのようなモチベーションを与えられて、幾分気持ち良く仕事が
できたとしても、自分の本当のモチベーションではない以上、目が覚めてしまえ
ば効果がなくなる。むしろ、心の健康にとっては、外発的モチベーションを与えら
れた時よりも、ダメージが大きいかもしれない(詐欺に遭ったような感覚)。

 この、後者のようなモチベーションには気を付けなければいけない。知らずに、
勢いよく悪徳企業に加担してしまう可能性すらある。悪徳企業ほど、この種の洗
脳は得意なので要注意。

 一方で、企業にとっても、個人にとっても、採用の段階でお互いに内発的モチ
ベーションが一致しているとどちらも幸せだろう。個人にとってやりたいことと、
企業がやりたいことが一致する状況。これが最高の状態だ。

 よって、採用する側は、応募者の本当のモチベーションを見破れるかどうかが
カギとなる。いくら能力が高そうでも、やる気(内発的モチベーション)をもって仕
事をしてくれないと、業績アップに本当に貢献してくれる人材なのかどうかは怪
しい。特に、長期的視野で考えると。

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